公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)

公正証書遺言とは,遺言者が公証人に対して,遺言の内容を口授,つまり口頭で伝えて,それに基づき公証人がその内容を書面にすることにより作成する遺言です。

公正証書遺言を作成するには,通常,遺言者本人が公証役場に行って,2人以上の証人に立会ってもらい,遺言の内容を公証人に話して,公証人がその内容を書面にします。
公証人が遺言書の内容を遺言者と証人に読み聞かせて確認した後に,遺言者と証人が署名捺印し,さらに公証人が署名捺印することによって作成します。

公正証書遺言は,家庭裁判所の検認手続きが不要なので,相続が開始した後,すぐに遺言を実行することができます。
また,遺言書の原本が公証役場に保管されるため,遺言書が破棄・隠匿されたり,改ざんされたりするおそれもありません。遺言が見つからないとき,相続人が公正証書遺言が作成されたかどうかを,公証役場で調べることもできます。

さらに,病気や体力の衰えなどのために自分で遺言書を書くことが出来ない人でも,公証人に依頼すれば遺言書を作ることができます。遺言者が公証役場に出向くことができないような場合には,公証人が遺言者の自宅や病院に出張して遺言書を作ることもできます。
このように,公正証書遺言は安全で確実な遺言書であると言えますが,作成するのに公証人の手数料などの費用がかかります。