夫が交通事故に遭い,妻の私と二人の子を残して亡くなりました。加害者に対して損害賠償請求をしたいのですが,できるでしょうか?

交通事故の加害者は,被害者の権利などを違法に侵害したので不法行為責任を負い,被害者は加害者の不法行為責任を追及するため損害賠償請求権を持つことになります。
そして,被害者が死亡した場合,亡くなった被害者が有していた損害賠償請求権などの権利も,相続財産に含まれます。
ですから,交通事故に遭った夫は,加害者に対し損害賠償請求権を取得し,夫の死亡によりその相続人である妻と二人の子がその権利を相続して加害者に請求することができます。

加害者に対しては財産的な損害の賠償と精神的な損害の賠償(慰謝料)を請求することができます。
財産的な損害には,現実に支出せざるを得なかった費用(積極的損害)と,事故の前まで得ていた収入などの「事故がなければ得られたであろう利益」(消極的損害)の二つがあります。
積極的損害には,死亡するまでにかかった入院費・治療費や付添費,見舞費用,葬儀に掛かった費用,弁護士費用など交通事故のため現実に支出した費用が含まれます。
具体的な損害賠償の金額は,事故の態様や,被害者の年齢や職業,家庭での役割などのそれぞれの条件の違いによって具体的なケースごとにかなり異なります。

なお,交通事故などの不法行為による損害賠償請求権は,被害者などがその損害及び加害者を知ったときから3年間で時効消滅します。不法行為の時から20年経過したときも同様です。