亡くなった方に相続人がいるかわからない場合や、相続人がいても全員放棄をして、相続する人がいない場合に、相続財産の調査や管理、換金を行う人の事を相続財産管理人といいます。
もし、この相続財産管理人制度がなかったら、相続債権者(被相続人の債権者)や受遺者(遺言による贈与を受けた人)は弁済を受ける事が出来ず、相続財産がそのまま失われたりする可能性があります。
相続財産管理人は、相続債権者や受遺者、特別縁故者(内縁関係にあった人など)または検察官の申し立てにより、家庭裁判所の審判によって選任されます。通常であれば、法律の専門家である弁護士などが選任される事になります。(民法952条1項、家事件手続法39条別表第1の99)
相続財産管理人が選任されると、家庭裁判所が相続財産管理人選任の公告をします。(民法952条2項)この公告によって、主に戸籍に載っていない相続人を探します。
その後相続人が現れなかった場合、選任された相続財産管理人は、相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告をします。この公告は、債権の総額を確定する為に行います。
相続財産管理人は、他方で相続財産を換価し、債権者に弁済をします。
相続財産の換価・清算後、残っている相続財産がある場合には、相続人捜索の公告をします。(民法958条の3第1項、家事件手続法39条別表第1の99)
もし公告の結果、相続人が現れれば、相続財産は相続人が引き継ぐことになります。
相続人が現れず、特別縁故者が財産分与を申し立て、それが認められると、残余財産の全部または一部を特別縁故者に分与する事になります。(民法958条の3第1項、家事件手続法39条別表第1の101)
特別縁故者への財産分与が終わり、相続財産管理人へ報酬を付与しても、なお残余財産がある場合には、最終的に国庫に帰属する事となります。(民法959条)
≪相続財産管理人選任後の流れ≫
相続財産管理人の選任
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相続財産管理人選任の公告
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相続債権者、受遺者に対する請求申出(催告)の公告
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相続財産の換価と清算
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相続人捜索の公告
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特別縁故者に対する財産の分与
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相続財産管理人に対する報酬付与
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残余財産の国庫への帰属